2025年05月15日
中間形を持とう
英文和訳も和文英訳も、レベルが高い問題や長く複雑な文になると、英文と和文の内容は同じでも、それぞれ直訳とは違った言い方になりがちです。たとえば
この英文を和訳した模範解答として、
"Strong anxiety will often make it difficult for you to make the right decision."
この英文を和訳した模範解答として、
「不安が強いと正しい判断をするのが難しいことがよくある」
などと訳せればいいわけですが、英文のほうには無生物主語や副詞 often があり、英文のSV構造を残したままでは自然な日本語訳にはなりにくい文ですし、また下の和文から即座に上の英文に直すのも難しいです。確かにどちらも慣れていれば可能なんですが、問題集などの模範解答では説明以外には最終解答の和文だけが載っていることが多く、つまりは「慣れている人基準」で解説が作られているわけですね。で、一足飛びに模範解答のような整った文にしようとすると、文意をちゃんと反映させられなかったり、often とか right とかの細かな修飾語の訳を忘れてしまうようなことになりがちです。
それを防ぐには、まずは正確に直訳することが重要です。
"Strong anxiety will often make it difficult for you to make the right decision."
↓
「強い不安はしばしばあなたが正しい判断をすることを難しくする」
↓
「不安が強いと正しい判断をするのが難しいことがよくある」
↓
「強い不安はしばしばあなたが正しい判断をすることを難しくする」
↓
「不安が強いと正しい判断をするのが難しいことがよくある」
このように、日本語としては不自然でも英文の意味を正確に捉えた直訳を一旦踏まえ、それを自然な日本語に変えるというプロセスが有効です。私たちは英語より日本語のほうが得意なはずですから、英語のままであれこれ操作するよりも、日本語の中で操作する方が簡単だからです。
和文英訳の場合はその矢印が逆になるわけですが、自然な日本語をあえて不自然な日本語にするのは少し難しいです。ただ不自然なだけではなく英語としては自然になる言い方にならなければいけないからです。それには、この「不自然だけど英語らしい中間形の日本語」を英文和訳を通して多く頭に入れておくことです。そうして「英語らしいものの言い方」を多く身につけていけば、会話でも役に立ちますし、リスニングでも遅れにくくなってきますよ。